青べか物語
山本周五郎氏といえば時代ものを書く作家、程度の知識しかなかった。
たぶん宮本輝氏の書評かエッセイに出てきたことがきっかけでこの作品に出会って完全にノックアウトされた。
ぶっくれ小屋にすむ貧しい人々の生活が「先生」の瞳を通して語られる。大人たちの中で異端者であろうインテリの「先生」からみた住人たちの織りなす物語はどうということのない日常でしかない。私は一体何に惹きつけられているのかと不思議である。
昭和35年ごろ「これは小説なのか」と論争があったというくらい当時は話題になったようだ。劣悪な環境で生きる生活労働者、そこに住む子供たち、ぼったくりの店、
親指をこぶしの間から出して「ひとは何のために生くるか」と説いて回る狂った老人。
写生のようなフラグメンツがきらきらとちりばめられている
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