芦浜センチメンタルジャーニー①

内谷監督がハハノワと紀ちゃんの撮影をしたいと南伊勢にやって来た。さんちゃんが亡くなって初めてあう奥さんの紀ちゃんは、すこし細くなっていた。それでも嬉しそうに私達を迎えてくれた。
いくらでも涙でるのぉ、という紀ちゃん。さんちゃんの話になるとすぐに涙ぐむ。

撮影は南伊勢の海で、漁協前で、ご自宅でと近いところをウロウロしながら子どもたちも連れてにぎやかに行われた。紀ちゃんが嬉しそうなのが嬉しくて、私達ははしゃいだ。

午後からはさんちゃんの暮らした古和浦のとなり、方座浦の喫茶ジョイフルへ。
ハハノワは帰って私と監督と撮影の吉田さんと紀ちゃんで向かう。さんちゃんは古和浦から村八分になっていたのでよく方座浦に来ていたのだそうだ。わし方座浦では人気もんやとよく紀ちゃんに言っていたらしい。


当時、原発推進派お断りの看板を掲げたジョイフル。激渋。入っていったら第四回DKNYでお世話になった和人さんがコーヒー飲んでいて「おおおー!久しぶりやんかー」と盛り上がり、監督に和人さんを紹介した。
急遽和人さんたちのインタビューも決まった。ここのママのインタビューも、和人さんたちのインタビューも映画本編を是非みてほしい。めちゃくちゃかっこよかった!
さんちゃんはいつもこの席。紀ちゃんがすわってみている。
今は静かにみえる古和浦。でも紀ちゃんは、今もここで歯を食いしばって生きている。
私が死ねば賛成派が喜ぶ、なにくそや、という。言葉もなく私はいつもうなだれる。
国策による地域破壊は戦争と変わらないほどの傷跡を残すものなのだ。すごく悲しい。
明日はいよいよ芦浜へ行く。

Maki Kawano

illustration / drawing Ise Mie Japan

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