あんただった

先日ぼけっと庭にいた。朝の通勤のレディやメンズが通ってく。おはよう公的な仕事ごくろうさまです、と思ってちょっとコソコソする。せっかくコソコソしてるのに庭の向こうから私の名前を呼ぶものあり。しっかりした感じのレディ、否、小学校の同級生やない。

何しろ基本人付き合いあんましない私、ひとしきりなんとなく同級生ぽい挨拶などかわしたその後に彼女が言った。

「小学校んときさ、この家のおばさんにあんたとミカンもろたよな。すごい覚えとるわ」

びっくりして嬉しくて驚いて「えええ」と叫んでしまった。

私にとってこの家を「いいな」と認識したあの最初の瞬間に立会人がいたなんて!!!

黄色に輝く甘夏を私がこの家のおばさまに手渡されたそのモーメント。
私がこの家を受け継いだはじめのきっかけの出来事。

確か一緒に誰かといたよなあ。うっすら思っていたが、そうか、あんたやったん。

ありがとうなあ覚えてくれてて。あれは本当にあった出来事だったのね。

うれしいぜ。

Maki Kawano

illustration / drawing Ise Mie Japan

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