はるよし

ハルヨシは中3のときの担任で、ふわっと天パで、天パだけどはげていて、小太りの髭の青々したそりあとが目立つ色白のおじさんだった。
割合仲のいいクラスで、ハルヨシはわいわい騒ぐ私たちをじーっとみてぶんむくれていた。
文字通りぷんぷんおこる。「うるさい~!俺はもう帰るからなあ!」と教室を出て行こうとするのを室長の種ちゃんが「ごめんさはるよし~おこんなさ~」と呼びとめる、という毎日だった。ひどい似顔絵の文化祭の看板がかけられたり、運動会の仮装でベティちゃんにさせられたり、うちらはハルヨシを十分楽しんだ。受験の間近に「おまえーおまえ絶対志望高受からんぞ~」といきなり廊下で言われ、(実際やばかった)「はあ?はるよしうるさいわ!絶対受かるちゅうの!」「どうやろうなあ!おれむりやとおもうなあ!にやにや」
普段何も言わないハルヨシにそんなことを言われてちょっと勉強を再開した。
あるときは真っ黒に日焼けしてベリーショートでいろいろ見た目に難点だらけの私に「おまえ絶対美人になるぞお~!」とまた廊下で言うので、「はあ?きもちわるいこといわんといてーー!」「ほんまやぞお~」とすたすた去って行った。
そんでハルヨシは数年後、すたすたっと死んでしまった。
溝にはまって死んでしまった。うそお、て感じである。
種ちゃんは本当に怒って葬式に来なかった。
死ぬなんてあほすぎるといってハルヨシみたいにふくれていた。
私は涙もでずぽかんとして、ハルヨシにゆかりのある(君が来るか?!って子がいっぱい来ていた)みんなでカラオケに行って追悼カラオケ大会でおなかがよじれるくらい笑った。
急に今ハルヨシが降ってきたので急いで書いたけど、ハルヨシ面白かったなあ!!
っていう、記録。

Maki Kawano

illustration / drawing Ise Mie Japan

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