a farewell song

かなり前。音楽づけの日々があった。
歌うことが本当に好きだった。バンドもたくさん組んでいた。
ジャズのフルバンド、レゲエ、ファンク。そんで大好きだったソウルミュージック。
だるーい午後には当時の神戸にあったHMVやvirginrecordに。
幸せな毎日に音楽は沁みているのが当たりまえだった。
先天的な持病があって、新しく完治を目指せそうな治療法ができたのをきっかけに、今のうちに集中的に治療してしまおうと思って就職せずに軽い気持ちで実家に戻った。

しばらくして、電車にのれなくなった。エレベーターがこわくなった。人前でごはんを食べると気持ちが悪くなってしまうようになった。あれ、体調わるいな・・・
のんきに体調のせいにした若い自分がいた。そのうち音に敏感になって夜中に窓に虫があたる音も聞き分けられるようになってきた。殺されると思って眠れなくなった。

あららーかわいそーねーと今の自分は思う。
がまんしすぎたねーと。だーれもほめてもくれないのにばかだねえと。
思っていた自分と現実の自分が乖離し始めたことに気づきもせずに日々を続けちまったせいだった。いや気づいてたか。そして歌うことを封印したのでした。なぜかはわからない。さよなら歌っていた私。誘いにものれなくなって、結果的にそうなった。

そして相当な年数がたった昨年、歌ってもいいよねと思った。
やさしい人々がどうぞといってくれたので甘えさせてもらった。

歌うことをやめていた日々を終わらせてしまえ。平気のへいざで恥をかいて笑っていたい。

あら、大好きな切腹の前座もさせてもらえて幸運です。えへへ。




Maki Kawano

illustration / drawing Ise Mie Japan

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