追悼さんちゃん

2つ前の記事doyouknowあしはま?のフライヤーを描き終えてほっとしていたところに今回のゲストスピーカーである小倉紀子さんのご主人さんちゃんが亡くなったという知らせが入った。海に落ちたのだという。わけがわからなかった。


芦浜にかかわる誰と話してもさんちゃんの名前が出ると皆一様にうふふと笑う。

「さんちゃんは、すごかったんな(すごかったよ)」

みな誇らしげに自分の持っているさんちゃんネタを話すのだ。海上保安庁の船に乗り込んだ若い衆やら、いくらも心美しいあらくれがいる中でさんちゃんはなかなか皆の心をつかんでいるらしかった。


私がついに会えなかったさんちゃん。

会いたかった。

でも話を聞くだけでもう好きだった。

今回のフライヤーは紀子さんを描いたものだったから見てほしかった。見てくれたかな。


さんちゃんの大好きなさんちゃんとおんなじくらい豪快な紀子さん。そんな奥さんできっと頼もしかったろうと思う。
第一回めのイベントだっただろうか、司会をしていたときいやがらせをされて怖くなかったか、と聞く私にきょとんと「こわいてなに?」と聞いた紀子さん。


「こわいて…そんなことおもてる場合やなかったけど…」と思いがけないことを聞かれた、というような戸惑った顔をしていた。


「私ら夫婦は全然意見がかみ合わん、何やっても意見が違うんです、でも原発のことだけはぴたーっとあうの。はんたーーーい!てなるの」と紀子さんは笑った。会場のお客さんもみんなであはは、と笑った。


今紀子さんが寂しいだろうと思うだけで胸がきゅー、となる。でも心ある東の御仁がさんちゃんの魂にゆさぶられた結晶がある。残ってる。


ああ、奇跡のようです。またいつかお話します。




またいつか紀子さんにお話会に来てもらいたいと思ってます。きっと来てくれます。

Maki Kawano

illustration / drawing Ise Mie Japan

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